嘘
『嘘』
2021/04/23 13:41
僕たちは20代の頃から知り合いで、ずっと不倫関係にあった。
もちろん、交際することも結婚することもできないまま、ついたり離れたりの関係を繰り返していた。
もうすぐ60になろうかという頃、僕は離婚しようやく彼女と初めてのデートができた。
彼女は昔から僕のことを心底愛していた。
出会った頃に僕が勧めた小説を、未だに大切に読み返していることからもそれは伝わる。
彼女の愛情をわかっていた。
そして彼女を愛していた。
しかし僕は、誰かと本気で向き合うのが怖くて嘘をついて逃げつづける、そんな臆病な男だった。
これまで過ごしてきた30年という年月。皮肉にも、その年月が長いからこそ嘘をつく癖が抜けない。ようやく初めてのデートができたのに、また「別れよう」と嘘をついた。
それから何十年も経っても、嘘をつく癖は抜けないまま。それは死ぬ間際まで同じだった。しかし最後くらいは、と勇気を出して本当の想いを伝えた。
「いい人生だった」。
すると彼女は言った、「別れよう」。それは、いつもまっすぐに僕を愛してくれた彼女のいたずらな物真似だった。
「嘘をつく人は嫌いじゃあなかったの」。
どうやら彼女は僕の嘘を見抜いていたようだ。妻とは別れると言いながらそのつもりがなかった僕。彼女を愛していながらも別れようと言った僕。彼女は僕のすべてを理解し、受け入れてくれていた。
ならば最後まで嘘をつこう。本当のメッセージを彼女なら受け取ってくれるはず。
命が絶えてもきっとそばに居る。だから…
「別れよう」。
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ピース又吉直樹さんの公式YouTubeに、短いフィクションの小説を解釈する動画が。
その小説を読んだら、私の中に違う世界が拡がったので、それを小説にしてみました。↑
又吉さんの考察は面白かったけど、自分は全く異なる解釈をしました。
本当に人それぞれで面白い。
色んな人の感想を聞いてみたいなぁ。
#考察
#嘘
#又吉直樹
#インスタントフィクション
#ピース又吉直樹渦
Don't let them in.
『窮鼠はチーズの夢を見る』
婚約破棄のおねがいをするシーン。
岡村たまき(吉田志織)は涙を溜めながら言う。
「別れるんだったら、なにかそれらしいことなんでも言えばいいじゃないですか。嫌いになったって」 。
でも大伴恭一(大倉忠義)は、斜め下の空気を見つめる。魂の抜けたような表情で語るのは元パートナーへの想い。
「ごめん…どうにもできなくて」
「今度こそ帰ってこないかもしれない。でも俺待ちたいんだ。一人になって、できることしてやりたい。」
前も、こんなことがあった。
初めてたまきが家に来て、夜を共にした次の日。
パートナーが出ていった理由を聞かれるとこう答える。
「あなたじゃだめだって言われてあっさり終わった。苦しそうだったからね、本当に。俺は幸せだったんだけどさ……勝手なんだ俺。」
聞きたくない、聞きたくない。
聞きたくないことを聞いてしまった。
大伴さんは私より大人な人。
私には吸えない煙草を吸う女性と暮らしていた。
本当に愛してた人がいて、
でもその人に置いていかれて、
とっても傷ついていて…
私の知らない思いをたくさん知っている人。
かわいそうな人。癒してあげたい。
早く大人な女性になって大伴さんに追いつかなくちゃ。
そんなたまきの心の声が聞こえてくるようだった。
彼はいつもそうだ。
本当の思いを言うべきところで言えず、
嘘をつくべき場面で嘘をつけない。
加えて、相手を招き入れるべき場面で突き放し、
突き放すべき場面で招き入れてしまう。
私も似たようなところがあるからわかる、そういう人は嫌われる。なぜなら理解がしがたいからだ。
でも私は反対に理解できない。どうしてみんながそれを適切に判断し、スイッチを使いこなせるのかが。
不器用すぎる愛はまじわりやがてすれ違ってしまうけれど、そんなごちゃごちゃもいいだろう。無秩序で、在り来りな答えと違って。
#大倉忠義
#成田凌
#窮鼠はチーズの夢を見る
#考察
裏切りと信頼
2019/07/15 Facebookより
『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』観た🎥(※ネタバレ有)
信じてた人物に裏切られ幻影に振り回され、殴られてボロボロになるピーター(主人公)。敵はそれを見て「そうやってすぐ信じる!だからお前はダメなんだ!」と嘲笑う。
「世界を守るヒーローなんて僕にはなれっこない。ふさわしいのは僕じゃない。」と一度は諦めかけた彼。
それでも「トニー(アイアンマン)もいつもイライラしたり、迷ってた。でもお前のことは迷わなかった。お前の力を信じてた。お前に期待してたんだ。」そう説得され、もう一度奮起する。
最後の戦いでは心を定め、幻影を見抜いて見事勝利。
私はこの一連のピーターの姿が、現実に戦う人々と重なって泣けてしまった。
信じることはいいことのはずなのに、信じたら笑われ、殴られる。
もう誰も信じない、自分の可能性さえも。そうすべてを塞ぎ込みたくもなる。
でもそれは、「お前はダメなやつだ」と心に揺さぶりをかけてくる『悪魔の囁き』で、本当はそんなの全て幻。自分にはできるんだと強く信じれば、それを打ち破ることができる。
アベンジャーズ・エンドゲームでも、アベンジャーズとサノス軍の戦いにも泣いてしまったけれど(笑)、やっぱりMCUは凄い。勇気をもらえる。
DVD全部揃えたくなってきたな〜😙!
存在
2019/08/13 Facebookより
回りに当事者いないとわからないことばかり。視覚障害者のみでなくマイノリティは社会構造上「いないこと」にされることが多い。だから私は「いないこと」にされている人たちを、目を見開いて見つけたい。手をさしのべる前にまず「存在を認める」こと。話はそれからだ。
だから私は、交差点などでは点字ブロックの上には立たないようにしている。「どうせ回りに目見えない人いない」じゃなくて。もし居たとき私がそこに立ってたら、その人は杖が何かにぶつかって混乱するかもしれないし、謝らせてしまうかもしれない。点字ブロックの上は「視覚障害者のための道」なのに。
そんなふうに、「存在していること」を前提に生活をしたい。
たとえば結婚の話になったとき、そこにはセクマイの人がいるかもしれない。たとえば原発の話になったとき、そこには被災地から逃れてきた人がいるかもしれない。
世の中には、色んな人が色んな経験とトラウマと価値観を抱えて存在している。それを忘れないように努めること。
それは、私にとってはとても大切なことで、私はそれを「優しさ」と思い生きている。
https://twitter.com/hirocat90/status/1160953831926009856?s=19
表現すること
2019/8/25
Facebookより
サカナクションの『グッドバイ』。
https://youtu.be/kt5-Al0CMuk
今でこそ音楽業界の最前線を走るサカナクションですが、煌びやかに見える、「成功者」に見える姿の裏で、2013年、ボーカル山口一郎は苦しんでいました。
(以下、山口本人の発言)
歌詞を書かなきゃいけない、でも書けない。
自分が創りたいものではなく
求められるものを作ることに慣れた自分が嫌で
音楽嫌いになって、歌詞を書きたくないと思った。
全身にじんましんが出たり、みんなを責めたり。
一年くらい休養をもらおうと本気で思った。
でも、仕事はやらなきゃいけない。
だからスタジオに行った
その時、自分の好きな歌を弾いて歌ってみた。
そうしたら出てきたのが
『グッドバイ』の歌詞とメロディー。
初めはアルバムの一曲になるくらいだろうと。
でもどんどんスタッフが口ずさみ出したりして
音楽を始めた頃の気持ちを思い出した。
たくさんの人にこの曲を聴いてもらいたいと思った。
そこでシングルA面にしてもらえないか掛け合って
リリースできることになった。
(引用おわり)
それでも音楽が好き。それでも音楽を手離さない。そんな彼の強い気持ちが産み出したのが『グッドバイ』。心打たれた。
私自身も高校時代、声楽部に入っていましたが、色々な悩みから「このままここにいたら歌うこと自体が嫌いになってしまう」と部活を辞めました。
だから、ほんのちょっとだけど気持ちがわかる気がします。自分の大好きなものが嫌いになる、自分自身が壊れそうになるつらさ。
この歌は、リリースされたあと、多くのファンから「サカナクションらしくない」と批判されたそうですが、彼がそれを出したいと思ったならそれが「サカナクションらしさ」だし、「山口一郎らしさ」なんですよね。
自分を表せば、いいことばかりだけでなくつらいことも同時に背負うことになります。でも、自分を表し、誰かと共鳴できた時、そこには大きな喜びが生まれます。そんな苦しみや恐怖を乗り越えてメッセージを体現するアーティストには、尊敬しかありません。
この歌とその背景を知り、サカナが一層好きになりました。
▼同じように、グッドバイに共鳴した女性のことば
以下、本文より。
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サカナクションには、別れが似合う。
終わりの見えない道を、頭を掻きながら、深夜に彷徨っているような歌詞が多い気がする。
きっと、山口一郎もそうなのだろう。彼を見ていると、いつもいつも悩んでいる気がする。それを包み隠さず私達に見せてくれる情熱に、私は心打たれてならないのだ。
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いちぬけた
2015/9/9
Facebookより
「のんはどうしたいの?」
って聞かれると、戸惑って笑ってしまう。
えっ?どうしたいんだろう?
どうもしたくないよ?ってなる。
周りの人が良いと思うものが良いし、
周りの人が幸せと感じるものを共有したいし。
あなたはどうしたい?って聞かれた時、
わりとすぐに答えられる人いますか?
○○したいって、ただのワガママだと
私は思うんだけど、そうじゃないのかな?
どこへ行きたい?
何が食べたい?
誰に会いたい?
どんな歌が好き?
何に触れたい?
どんな服が着たい?
わからない。
自分が何をしたいのか。
究極に自分を問い詰めるとするならば、
全部やりたいし全部やりたくない。
全部スキだし全部キライ。
病んでるとかじゃない、
多分そういうのは関係ない。
主体的/能動的に生きるって難しいな。
少なくとも私にとっては至難の技だなって。
早く身につけたいけど、
どうやったら身につくのだろう。。?
もしかしたら、
自我のコントロールができてないのかも。
好きなものも嫌いなものも隠して生きてきたから
何が好きで何が嫌いかわからなくなってきたのかも。